円形脱毛症はあるとき突然やってきます。
特に痛みもかゆみもないのに、あるとき床屋や美容院で指摘され、びっくりするというパターンが多いようです。
突然なので、そのショックは、いきなり腹を横殴りにされたような感じがします。
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円形脱毛症の原因
円形脱毛症はアメリカの統計では人口の０．１～０．２％ほど。それに対して日本では３～５％もの円形脱毛症患者がいます。
ストレス社会だからでしょうか？
円形脱毛症は、誰にでも起こりうるものなのです。
私自身、そんなものに自分がかかるとは、全く思っていませんでしたし、そんなに自分にストレス等がかかっている自覚もありませんでした。
円形脱毛症は、１か所だけ発生する方もいらっしゃれば、複数個所の発生、まゆげ、まつげ、体毛にも発生するものです。
円形脱毛症には自己免疫がかかわっている？
円形脱毛症の原因として考えられているものには、ストレス、内分泌以上、感染症などがあげられていますが原因は今だにはっきりと特定されてはいないのが現状です。
最近の研究では、自己免疫から来るのではないかという考え方が有力です。
円形脱毛症が起こっている部分の周りを調べると、毛根部周囲にリンパ球漫潤が起こっているのがみられるからです。何らかの自己免疫の暴走がおこり、その結果毛髪が委縮、退行して抜け落ちていくらしいのです。
ただ、何がそれを起こしているのか、自己抗原の種類や過程についてはまだ研究途中なようです。
いろいろな要素が複合的に絡み合ったときに円形脱毛症は起こるのかもしれません。
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円形脱毛症の遺伝的要素
円形脱毛症には遺伝的要素もかかわってきているのではないかと言われています。
というのも、一卵性双生児では２人とも円形脱毛症になる発症率が高いのに、二卵性双生児では片方だけの発症率が低いという報告があるのです。
また、家族内発症率は３０％とかなり高め。
HLA（Human Leukocyte Antigen＝ヒト白血球抗原）の型の検査でも円形脱毛症の患者に共通する型が認められるなど、遺伝的要素がかかわっていることはほぼ確実なようです。
一度、自分の遺伝子を調べてみるのもよいかもしれません。
誰が円形脱毛症を発症しやすいか？
円形脱毛症は、誰でも発症する可能性があります。
子供の発症例も多くみられます。
年齢分布では、２０～３０代が多く、男女比では、１：１．１８と、ほんの少し女性の方が発症する率が高いようです。
円形脱毛症の治療方法まとめ
円形脱毛症は、薬をつけることで比較的容易に治る場合もありますし、全身的、総合的な治療を行っても容易に毛が生えてこないこともあり、さまざまな治療が試みられています。
原因も特定できていないし、「これをすれば完璧に治る！」という治療方法も確率されていないのが現状です。
体調や効果を確かめながら、その人に合った方法を探っていきますので、経験ある専門医にかかる必要がありますね。治りにくい場合は、セカンド、サードオピニオンをとることもしてみてください。
治療方法をまとめてみました。
１．皮膚の炎症を抑える薬の処方
比較的軽症な場合、皮膚の炎症を抑える薬が処方され、経過を見る場合があります。
それとともに、夜良質な睡眠をとったり、バランスの良い食生活をするなど、基本的な生活改善の指導を受けることが多いようです。
クリニックによっては専門のカウンセラーを備えているところもあり、定期的に提出するレポートをみてアドバイスをしてくれたり、一緒に伴走してくれるので、意思の弱い方はこのような医院・クリニックを選んでみましょう。
２．ステロイド剤の使用
ステロイド剤は、暴走してしまって毛髪を攻撃している自己免疫を抑えます。
ステロイド剤を円形脱毛をしている皮膚に直接注射をする方法です。
２０１０年に発表された日本皮膚科学会円形脱毛症ガイドラインでは、この方法は、「B：行うように勧められる」と評価されました。推奨文では、「症状の固定した、脱毛面積が頭の２５％未満の単発型、多発型の成人症例に用いるべき」と書かれています。
ちなみに、ステロイドの服用については、C１。発症後６か月以内の成人で、急速に進行中の人にのみ推奨される方法なようです。
ステロイドによる治療は、効果のある方法として知られていますが、自分の免疫を抑えるということは、外からのウイルス等にも弱くなってしまうということで、注意が必要です。
また、重度の糖尿用患者や、子供への使用はできません。
副腎皮質ステロイド剤の場合、薬剤惹起性うつ病というものを発症することがあることも厚生労働省のHPい書かれています。このうつ病は他にインターフェロン製剤や抗ヒスタミン剤、経口避妊薬でも起こる可能性があることが知られています。
薬を服用してから、夜眠りにくくなった、なんだか気分が落ち込む、というようなことがありましたら、すぐに専門医院に相談をしてください。
３．局所免疫治療法
日本皮膚科学会の推奨度で、外部ステロイド剤使用とともに推奨度Bに挙げられているのが、局所免疫治療法です。
自然界にない物質で、人工的にかぶれを起こす化学薬品（DPCPやSADBEとよばれるもの）を円形脱毛を起こしている部分にぬり、わざと皮膚炎をおこさせます。非常に薄い濃度から始めて、徐々に濃度を上げていきます。
暴走する自己免疫反応の対象を置き換ええる治療方法です。
１～２週間に１回程度の頻度で行います。
比較的安価で、糖尿病の方や子供、お年寄りも行える方法です。
副作用としては、ご想像できると思いますが、かゆみなどが起こることがあります。
他の方法で効果がなかった難治性の脱毛症で４０～５０％に効果があったという報告があります。
４．フロジン液の使用
フロジン液（塩化カルプロニウム液）と呼ばれる薬の使用です。円形脱毛症を起こしている場所の血流増加を起こさせ発毛を促す外用薬です。
医療用として保険適用になります。
第一三共ヘルスケアのカロヤンシリーズにはカルプロニウムが２％配合されていますが、保険適用の医療用は５％の配合ですので、お医者様に処方していただく方が効果は高そうですね。
著しい副作用はないようですが、人によっては、異常な発汗やほてり、患部のかぶれなどの症状をおこす方もいらっしゃるようです。
このような症状が現れた場合は使用を中止して、すぐに専門医を受診なさってください。
日本皮膚科学会の推奨度は、C１です。
５．冷凍療法
液体窒素圧抵法や雪状炭酸圧抵療法などがある治療法で、いずれも一瞬患部を冷却する方法です。
なまけている体にぴりっと警告を与える方法です。
冷やした後は、逆に血流が豊富になります。
ただ、一瞬ですがちょっと痛みのある方法ですので、子供やお年寄りにはあまり向かないかもしれません。
日本皮膚科学会ガイドラインの推奨度は、C1です。
６．PUVA療法
ソラレンという薬品を内服、または外服し、紫外線を照射する方法です。
紫外線照射ということから、子供やお年寄りには向かない方法です。前述の日本皮膚科学会の推奨度は、C１です。
局所免疫療法が無効な方や、全頭型、汎発性の大人に試用する方法です。
ここまでお読みいただいた方は疑問に思ったかもしれません。
「あれ？ 推奨度Aは？」
そうなんです。ガイドラインにはBはあってもAがないのです。
やはり、これぞ！という特効薬的なものはなく、個人個人の体質や症状にあった方法を探っていく治療となるようです。
厚生労働省の薬の副作用に関するページ
厚生労働省のHPには、さまざまな薬や副作用などに関する情報ページがあります。
ネットには不確かな情報も反乱しています。
正しい情報を知るには、厚生労働省のHPをチェックしてみるのがよいと思います。
とても充実したHPですよ。
営利が絡まないので、公正な情報が手に入ります。
厚生労働省HPトップ：http://www.mhlw.go.jp/
頭皮に使われる薬の副作用に関するページもあります。
さらに詳しく知りたい方は、こちらのURLをどうぞ。
厚生労働省、毛髪用薬に関するページ：http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/01/s0117-9d39.html
公益法人 日本皮膚科学会HP https://www.dermatol.or.jp/
円形脱毛症は専門の医院へ
円形脱毛症を発症した場合は、専門の医院を受診しましょう。
日進月歩で進んでいる薄毛治療。
円形脱毛症、薄毛の問題は、お医者さんで解決できる時代です。
また、精神的につらいときは、円形脱毛症の方が集まるさまざまな団体が存在しますから、そういうところに相談してみるのも精神的なケアにはよさそうです。
どうか一人で悩まないでください。
